2018/11/15 23:16


カルパで使っている酵母は小麦から起こしたルヴァン種と、ライ麦から起こしたライサワー種、食パン生地にはレーズンから起こした酵母も併用して使っています。いわゆる天然酵母と呼ばれるているもので、カルパの工房で毎日培養しています。

天然酵母と言ってもその種類と使い方はさまざまあり、そもそもイーストも天然の酵母からとれたものを純粋培養してるので天然酵母という言い方もふわっとしたものに感じます。

この天然酵母、みなさんさまざまなイメージを持っていると思いますが、美味しさであったり見通しの良さだったり、なんかかわいかったり、色々ですけど、じゃあなんでカルパさんは天然酵母でパン焼いてるのよ?と思う人がいるかなと思ってぼくの考えを書いてみようと思います。

ぼくが天然酵母に魅力を感じる一番の理由は「多様性」です。色々な種類の菌が働く天然酵母という生命体に、理想の世界を重ねてみています。


パンを膨らませる酵母菌以外にも乳酸菌や酢酸菌など、さまざまな菌がいる中で、それぞれがそれぞれの役割を果たしながらひとつのパンを作って行く。

それぞれが得意な温度帯とか環境の中で働いて「こっからは酪酸菌頼む!」みたいな感じでバトンタッチとかして共生して、それが結果として、厚みのある風味を作り、パンを味わい深いものにしてくれているんじゃないかなと思っています。


ひとりひとりの個性を尊重して、それぞれが得意な分野で働き、お互いに助け合って生きて行くってのがなんかいいなと思っています。社会を作るのに適した人だけが活躍する世の中はちょっと嫌だなと思う訳です。なので天然酵母でパンを作らない訳にはいかないのです。


もちろん、美味しさであったり、伝統的な製法でシンプルであること、目に見えない菌を感じることが出来ること、しっかり時間をかけて発酵することで消化吸収のしやすい食べ物が作れることなどなど、魅力は他にも沢山ですが、一番大切にしていることはこんなことなのでした。

これからも菌たちと仲良く、良いパンを焼いていきます。